
Budapestのビール愛好家ガイド:廃墟バーに巻き起こる革命
Budapestでビールを注文する際、3種類の同じような工業製ラガーから選ぶしかなかった時代はもう終わりです。あの水っぽいパイントは過去の話。この10年、ハンガリーの首都は「発酵のクーデター」を成し遂げ、中央ヨーロッパでも有数のクラフトビール巡りの聖地へと変貌を遂げました。地元ではこれを「Kraft」ムーブメントと呼びます。自家醸造の実験段階を遥かに超え、地元のフルーツやスパイシーなパプリカを隠し味に使った世界クラスの領域に到達しています。ここにはBerlinを凌駕するほどの反骨精神が溢れています。今日、街の廃墟バーからは粗悪な酒が消え、ダブルドライホップのIPAやバレルエイジドスタウトが主役に。District IXの無骨な雰囲気から市心の洗練されたタップルームまで、喉を鳴らす準備はいいですか。本物の泡が、あなたを待っています。
大衆酒から「Kraft」へ:その進化の軌跡

グラスの中の液体を理解するには、10年前を振り返ってみましょう。社会主義体制後のハンガリーは、Dreher、Soproni、Borsodiといった、刺激のないラガーの砂漠でした。これらは今でも街角のパブ(kocsma)の定番ですが、2012年に静かな革命に火がつきました。きっかけはFőzdefesztというストリートフェスティバルです。勇敢なホームブリュワーたちが風変わりな自作ビールを披露し、それが国民的な熱狂を呼び起こしました。現在、Budapestで最高のクラフトビールバーは、独立系小規模醸造所の質の証である「Kraft」のラベルを掲げています。その実験精神は凄まじく、Tokajワインの樽で熟成させたサワーや、オイルのように濃厚なインペリアルスタウトも見つかります。Mad ScientistやHorizontといった名前に注目してください。注文の際は単に飲み物を頼むのではなく、「kézműves sör」(ハンドクラフト・ビール)と頼んでみましょう。それが最高の夜へのチケットになります。
ホップの大聖堂:Élesztőház
巡礼には出発点が必要です。ここがまさにその場所です。District IXの工業地帯の中心に位置するÉlesztőház(通称Élesztő)は、ガラス工場の跡地を利用しており、むき出しのレンガと鉄骨の骨組みが残っています。クラシックな廃墟バーのような見た目ですが、ここでの主役は安いショットではなく、ビールそのものです。20以上の回転タップでは、ハンガリーの精鋭たちのビールが提供されています。黒板のメニューには、他ではお目にかかれない樽のリストが並びます。中庭のさらに奥へ進んでみてください。英国スタイルのリアルエールを出すカスクエールバーや、アルコール度数の高いIPAのアルコールを和らげてくれる巨大なソーセージが自慢の「Butcher’s Kitchen」があります。「一杯だけ」のつもりが、気づけば午前2時にホップの構成について熱論を交わしている、そんな場所です。
狂気と遊び心:Mad Scientist & MONYO

このシーンを語る上で欠かせない2つの巨頭があります。Mad Scientistは、ネオンを多用した美学と限界を攻めるビールで知られるロックスター的存在です。度数9%のLiquid Cocaine IPAは、危険なほど飲みやすく、至る所で見かけます。その真髄を味わうなら、Anker közにあるMadhouseへ。天井の高い洗練されたビストロで、マンゴーラッシー・サワーとサステナブルな料理をペアリングできます。もう一方はMONYO Brewing Co.です。Kálvin térにあるタップルームのカウンターには、なんと本物のブランコ席があります。ハンガリー人にホップの愛を教えたアメリカンIPA、Flying Rabbitを味わってください。活気があり、飾らない雰囲気で、大抵ロックミュージックが流れています。両ブランドとも、ガレージでの始まりがいかにヨーロッパを代表する勢力に成長できるかを証明しています。もし在庫があれば、実験的なリリースである「Dead Rabbit」を試さずに帰る手はありません。
地下の革新:Gravityとニューウェーブ
本当の魔法は地下で起こります。Lónyay utcaにあるGravity Brewingは、ビールギークのための秘密のバンカー(地下壕)です。ここはブリュワーが自ら所有・運営しています。Singularityスタウトを注いでくれるその人は、おそらくカウンター越しのステンレス製タンクでそのビールを仕込んだ本人でしょう。清潔で静かな店内は、モダンなスタイルに徹底的にこだわっています。もっと賑やかな場所がお好みなら、Dob utcaにあるfirst craft beer & bbq budapestへ。FIRST Craft Beerが運営するこのタップルームは、騒がしく活気に満ちています。彼らのピルスナーは、過激な実験的ビールに圧倒されそうな人にとって完璧な入門編となります。さらに、伝説的なBBQブリスケトも楽しめます。市中心部で味わう、燻製とビールの究極のコンビネーションです。
タップのその先へ:ボトルショップと希少銘柄

時には、自分だけのテイスティングセットを揃えたいこともあるでしょう。Budapestはその期待を裏切りません。Kertész utcaにあるCsakajósör (Only Good Beer) は、このシーンの草分け的存在です。クローゼットほどの広さの小さな店内は、ビール愛好家にとっての古本屋のような趣があります。タップには4〜6種類の希少なビールがあり、棚にはベルギー産のランビックがぎっしり詰まっています。圧倒的な品揃えを求めるなら、József körútのBeerselectionへ。ここは数百種類ものボトルや缶が並ぶ倉庫のような店です。ギャラリー席もあり、見つけた冷えたビールをその場で飲むこともできます。Szent AndrásやBalkezesといったハンガリー地方都市の醸造所を探すのにも最適です。帰りの飛行機用に数缶パッキングするのを忘れずに。後悔はさせません。
フェスティバル:訪れるべき最高の時期

旅行の時期を合わせれば、さらに素晴らしい体験ができます。最大の目玉は5月下旬のBudapest Beer Week (BPBW)です。Dürer Kertで開催される「飲み放題」のこのイベントは、ヘビーメタルのコンサートと高級ダイニングを掛け合わせたような雰囲気。北欧や英国のエリートブリュワーたちが地元勢と並んでビールを注ぎます。もっとリラックスした雰囲気が良ければ、8月下旬のBelvárosi Sörfesztiválへ。Szabadság térを会場に、専用グラスを購入して飲みたい分だけ支払うスタイルです。マニアックすぎず、アールヌーボー様式の建築の下で素晴らしい空気感を楽しめます。チェリーラガーから本格的なIPAまで何でも揃います。公園で過ごす夏の終わりの夜として、これ以上のものはありません。
役立つヒント
- 11849年の乾杯のタブー:処刑された将軍たちの歴史から、乾杯でグラスを合わせない年配の地元客もいますが、クラフトバーにいる若者は気にしません。グラスを掲げ、目を合わせて微笑めば大丈夫です。
- 2正しい言葉:乾杯は「Egészségedre」(エゲーシェーゲドレ)。発音が難しければ、どこでも「Cheers」で通じます。
- 3ドラフトのサイズ:「Pikoló」(0.2Lまたは0.3L)と「Korsó」(0.4Lまたは0.5L)があります。度数8%超の重厚なビールは通常、小さいグラスで提供されます。
- 4価格の目安:クラフトビールの1パイントは1,500〜2,500 HUF程度。大衆ビールの2倍ですが、LondonやNYCに比べれば格安です。
- 5フードペアリング:食事ならFIRSTやMadhouseがおすすめ。「Hortobágyi palacsinta」(肉詰めクレープ)をIPAと一緒に注文してみてください。ハンガリービールは濃厚な料理と相性抜群です。
- 6水分補給が重要:カウンターにある「szódavíz」(炭酸水)のサイフォンを探しましょう。多くの場合無料です。合間に飲んで水分を保ちましょう。
- 7Untappdが主役:GravityやHopaholicなどの人気店では、デジタルのUntappdボードを採用しています。注文前にアプリで最新のラインナップをチェックしましょう。
- 8公共交通機関:Grand Boulevard沿いを走る4/6番トラムは24時間運行しています。Beerselectionへのアクセスや、Élesztőházへの徒歩ルートを繋ぐのに非常に便利です。
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